【書評】私の財産告白

私の財産告白

どうやって財産を作るか。その方法を本多静六という昔大学の教授をしていた人が語るという趣旨の本。こういった趣旨の内容と聞くと、ありふれた本に聞こえるかもしれないし、内容もすごく斬新な手法が紹介されているわけでもない。

著書で言っていることはシンプルだ。
「まず貯蓄してある程度の額が貯まったら、投資する。また、好景気時代は貯蓄に励み、不景気時代に思い切った投資をする。」
これだけ。もちろん細かいことはもう少し書いてある。

例えば貯蓄する際には、固定給である月の給料は4分の1を自動的に引き抜いて貯蓄するとともに、臨時収入は全額貯蓄に回すということを紹介している。今だったら、収入が入った瞬間にほかの口座に振り替える設定をしておけばいいのだから、その設定をしておけばいいだろう。もとから稼いでいるひとは別にして、普通の人は4分の1を貯蓄すると苦しいだろうが、その状態がデフォルトになれば、あとはもう乗り越えるしかないわけだから、なんとかなるだろう。

ある意味は著者は財産を作るための王道を改めて紹介しているのである。ではなぜこの本がみんなに読み継がれているのだろうか?(自分の持っている本ですら、第13刷である)2つあると思う。1つは本多の小さなことを積み重ねて努力した結果成功した生き方に自分でも成功できるんじゃないかという期待を感じるということではないか。世の中でもてはやされる奇想天外だったり、大胆な成功者よりも身の丈に合っているのではないか。
もう一つは本多の正直でまっすぐでぶれない生き方に潔さを感じ、自戒の意味で読む人も多いのではないか。

自分がいいと思う個所をいくつか引用。
・貧乏生活から脱却しなければ精神の独立も生活の独立もおぼつかない

・まことに若い時の苦労は買ってでもしろと言われているが、貧乏に苦労し、貧乏し抜いてこそ、人生の意義や事物の価値認識を一層深めることができるのである。

・その身を落とし、生活を切り詰め、労苦をいとわず働くことを覚悟すれば、他人に不義理もせず、泣き言も持ち込まず、独立独歩の世渡りはまずできるものである。

引用を書いてて思った。自分はきっと人様に迷惑をかけずに自立して生きていきたいと思っていて、そこがあるからこの本に良さを感じるのかなと。

まあいずれにしても、この本は文字も普通の本より大きめで文章も平易なので、読みやすいと思う。自分は特別な人間ではないけども成功はしたいという人は読むことをおすすめする。