【書評】借金の底なし沼で知ったお金の味

借金の底なし沼で知ったお金の味 25歳フリーター、借金1億2千万円、利息24%からの生還記

 

ある人がおすすめしていたので、読んだ本。個人的には、お金について考えることをあまり良しとしない日本文化の中では、こういった世の中のお金の話を扱った内容の本は社会でお金と付き合っていくすべての人が等しく読むべきだと思う。

 

内容としては、著者の波乱万丈体験記。東大に入ったが、みんなと同じ官僚とか大企業の社員になる同期をよそめにフリーターになってしまう。フリーター中のバイトの中でかかわっていた資産家の元に出入りしていた先物投資の営業マンにそそのかされ、投資話に乗った結果、25歳にして5千万円もの借金を背負うことになる。そこから自分でビジネスを興し、なんとか借金も清算し、今はお金持ちとして生きれているみたいな感じ。

 

なんか波乱万丈すぎて自分にはそんなことが起きないんじゃないかと思うかもしれないが、全然一歩間違えれば起きてもおかしくない話。人の失敗から学べることは多くある。

 

自分的には以下の文が気になった。

 

P69「同じ記号の蓄積ならば、不完全な人間の脳に蓄積された情報よりも外部記憶装置のほうがずっと優秀です。それでは人間としての価値が存在しません。メディアからの2次情報ばかりが話の主体になるということは、自分からは何であれ、ことを起こした経験がない行動力のなさがうかがいしれます」
情報や手法というのを蓄積するのは悪いことでないが、それを活かして何かをするということが大事だと気付かせてくれる。上記の2つをためることだけで言えば、PCのほうが優れているのだから。

 

P84「何事にもみっともなく生きる」
P89「本当になんでも好きなだけ買える状態に達した人間は、消費活動を快楽ではなく、苦痛と感じるようになっているはずです」
お金持ちは発想がそうなっているから、お金持ちなのだろう。自分がお金持ちになろうと思ったら、まずはこの辺からの意識改革が必要かと思う。今はできていないが、「私の財産告白」の方法のように自分の給与の一定額を強制的に引き抜いてしまうことで貯金をためよう。お金があればいろいろな選択肢ができる。

 

P194「会計の知識の習得は、金持ちになるためには避けて通れない事柄だと身をもって感じました」
会計に関しての知識がないままだと、お金の流れが管理できなくなる。お金持ちになる人はこのあたりの知識をしっかり持ったうえで運用するから、リスクはありつつも、そこはある程度低く抑えながら資金運用を考えることができる。この強みは大きい。技術屋さんでもない限り、会計やファイナンスはやったほうがいいんだろうなと最近切に感じる。

 

P242「許容できないストレス負荷がかかった場合には、僕はうまいものを食べて、寝てしまいます」
逃げのようでいて逃げではない。追い込まれているときにじたばたあがくよりもあえてぐっすり寝てしまうほうが精神が回復して、また寝ているときに何か妙案が思いつく可能性がある。こういうのも修羅場をくぐっているからこその発言だなと感じる。

 

とまあ自分は勉強にもなったけども、物語としても面白いので、気楽に読んでみては。