【書評】稲盛和夫の実学 経営と会計

稲盛和夫の実学―経営と会計

 

現在の会社では経営管理というものが行われていないに等しく、社長の大きな声で会社が動いているだけである。そこに個人的は危機感を感じて、もっと会社の経営を数字ベースに定量的に運営できないのかというところを考え、本書を読んでみようと思った次第。

著者はかのアメーバ経営で成功したことで有名な元京セラ会長稲盛氏。この人自身は会計についてはまったく知らなかったものの、実際の経営をしていく現場で自分なりの会計哲学を発案し、それをベースに会計を解説している本。

例えば、前書きに「企業を長期的に発展させるためには企業活動の実態が正確に把握されなければならないことに気づいたのである」という言葉があり、自分もまさにそのとおりだと思っている。その実態を把握するうえで各ビジネスプロセスごとにデータを取る仕組みを作って導入することが大事なんじゃないかなと。自社では全然できていないので、偉そうに言えないけども。。

また、P61にはこんな記載がある。
「安全に経営しようと思えば、減価償却プラス税引き後利益で返せる範囲のお金でしか設備投資をしてはならない」と。要は手元に実際にあるキャッシュ以上で投資をしないということ。堅実だけど、自分はこの考えに共感する。むちゃくちゃ投資してハイリスクで圧倒的な成長を志向するよりも堅実ながらも確実に成長するほうがいい。

さらにP84の「売れない製品は在庫評価もせずに帳簿から落とすべき」とか。在庫として持っているだけで資産としてカウントされ、不要な税金をかけてしまうことになるので即刻落とすってこと。この辺もよく見ていないと経理担当者が売れなくても通常の棚卸資産に繰り入れるという操作をオペレーションですることも多いかと思うので、自分がメーカー的なビジネスをするなら覚えておこうと思った。

 

最後に、180Pにこんな記載があった。
「問題は目標が高いか低いかではない。決めた目標を社員全員にやろうと思わせるかどうかなのです」
本当にそう。社長の仕事はそこにあると思う。会社の目標に向けていかにコミットさせるか。なのに、今の会社では社長自身がそういった環境や雰囲気作りに興味がなく、社員は自分で自分をモチベートさせろという状況。それなら社員なんて雇わなければいいのに。とグチになってしまうのでこの辺でやめようw

 

個人的には少し会計の知識がわかっている方が楽しめるんじゃないかなと思う本。